幻の映画「夏少女」

こんにちは!

台風10号で家が揺れています。アメリカ軍による空襲はこの何倍も怖いんだろうなと思ってしまうほど戦争系の映画にどっぷり浸る盆休み中です。

先日映画館で「夏少女」を観てきました。

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「夏少女」

監督:森川時久

キャスト:桃井かおり間寛平、矢崎朝子、藤岡貴志、景山仁美、朱門みず穂、高岡駿雄、川上夏代、坂田明

日本公開日:2019年8月3日

 

ポスターを見る限り明らかに2019年に公開が始まる感じの映画ではないようです。

それもそのはず、1996年に完成している映画で、ある事情により劇場公開されず、脚本を担当された早坂暁さんの生誕90周年記念にオリジナルネガが見つかり、23年の時を超えて公開が決定した映画なのでした。

東京の方ではかなりお客さんが入っているようですが、私が住む大阪ではちらほらといったところ。

感想がパッとなかなか出づらいような、非常に繊細な映画でした。

 

終戦後の瀬戸内海に浮かぶ小さな島が舞台。

マモルという少年を中心に、家族が一人の美しい少女と出会うお話。

美しい少女が何者なのか、映画を観た人によってその解釈がわかれ、「となりのトトロ」における都市伝説のような、「あれはこういうことなんだ」と言って楽しむことができるような印象。

ただ、夏の美しい島を背景にドラマ仕立てで描かれているとは言えど、「原子爆弾」をテーマとして扱っているため、全体を通して薄暗くてシリアスな印象は抜けません。

 

小学校で、戦争を題材にした歌を合唱コンテストで披露する場面が映画中にありました。

正確には少し違うかもしれませんが、歌詞に「焼かれた少女」というような文言が入っています。

ストレートに被爆を表現していて、それをリアクションすることなく、小学生が歌い、練習し、コンテストで合唱していました。

戦争によって犯した過ちを繰り返さないように歌にして理解し、音楽に乗せて発信しているだけなので、まあ普通のことなのかもしれません。

でもこの光景をみた瞬間、「えっ、そんな歌歌うんだ。。」と思ってしまった自分がいました。

今、私がそう思ったのなら、10年先の若者は「何その怖い歌。。」となり、50年先の若者は「原爆ってなに?」となっているのではないか、と思ってしまい、恐ろしかったのです。

1996年当時に普通であったことも、23年経つと普通であるとは限らないということなのですかね。。

 

さらにそれをより色濃くしたような場面があるのです。

マモルが家でゴロゴロばかりしている父親を見て「なまけているようにしか見えない」と言います。

それだけ聞くと当然だと思うのですが、父親は被爆者で、体が弱っていたのです。

戦争を体験していない、知らない子供(マモル)にとって、戦争とはその程度のものなのかもしれません。

大人になって、ある程度戦争がどれほど恐ろしいものかについて知る機会が増えて、マシにはなるものの、実際に体験した人の反戦意識には遠く及ばないでしょう。

先日鑑賞した「野火」を撮った塚本晋也監督が「戦争を体験した世代が今ほとんど亡くなってしまって、危機感を覚えている」というようなことをおっしゃっていたのですが、このシーンを見てそれを感覚として理解しました。

 

もし私に子供ができて「なぜ戦争ってしないほうがいいの?」

と聞かれたら、この映画をみせるかもしれません。

世代を超えて傷を負わせることって、人の命を奪い合うことと同じくらいいけないことだな。。

そんなことを思ったのですが、今の10代くらいの子がみるとどう感じるのか、とても気になる映画でした。