NHKドキュメンタリー「ラストトーキョー"はぐれ者たち"の新宿・歌舞伎町(前編)」

NHKのドキュメンタリーを観ました。

「ラストトーキョー"はぐれ者たち"の新宿・歌舞伎町(前編)」

本映像のカメラマンでもありディレクターである20代の女性が、彼女の母親である柚木佳江さんに密着するドキュメンタリー映像です。

東京歌舞伎町で3つの麻雀店を営む佳江さんから新宿の陰が見えます。

 

新宿といえばホストクラブやゲイバーの印象が強く、常にネオンでキラキラしていて、時たま暴力や犯罪が発生しているイメージ。

良いように言えば活気に満ちている街。

悪いようにいえば危ない街。

この映像を見る前に、タイトルを見て期待したのはそういうものでしたが、いい意味で裏切ってくれました。

 

佳江さんの営む麻雀店に来るお客さんは、多くがお年寄りで、若い頃からずっと来てくれている常連さん。

スタッフも皆同年代で、生き甲斐として麻雀店で働いています。

また、ディレクターは「水族館劇場」という名の劇団にフォーカスを当てます。

劇団員は主に日雇い労働者で構成されており、年に一回新宿で行う公演のために一ヶ月寝食を共に過ごし、自分たちでセットも作り、それが楽しみだから仕事を頑張れるのだそう。

彼らは新宿といえばで連想される派手で華やかな人には全く見えず、かといってドロドロした犯罪の匂いのする人にも全く見えません。

そういう人たちのことが、街でできるだけひっそりと暮らす何かに見えました。

佳江さんは「私は新宿のネズミです。」とおっしゃっていたのですが、何かは「ネズミ」なのかもしれません。

彼らを落ちぶれた人間として決して描かず、むしろそういう生き方だってできるという前向きな印象を与えてくれるところに、このドキュメンタリーの魅力はあります。

たとえば、麻雀店でお年寄りが支え合う姿は、誤解を恐れずにいえばネズミでも新宿では支え合うことで生きていけるというメッセージに感じるのです。

 

カメラを自ら回すディレクターは、今までレールに沿った生き方をしてきた自分にコンプレックスを持っており、そのような生き方に憧れすらあります。

私自身も、ディレクターと同年代で、似たような境遇であるため、共感してしまいました。

 

強い人間、弱い人間、両者ともに生きていける場所が新宿。

そんな街が、東京五輪の再開発によりどんどんアップデートされていくことに、少し戸惑いを感じました。。