それでも僕は映画を見る〜ヤマシンの映画ブログ〜

映画の感想を書くことを生き甲斐とした男のブログでございます。

『ウィッチ』(2015)

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公開日2017/7/22
鑑賞日2021/12/9

キリスト教生活を送るため村から荒地へ移住した7人家族に起こる狂気の出来事を「魔女」テーマに描いたホラー映画。
寝る前に見るんじゃなかったなぁ。。

どったんばったんJK大好きタイプではなく、アダルト向け『ミッドサマー』系列マジキモタイプのホラーだ。

核心をつくまでゆっくりじっくり見る手をいたぶるかのように詰めてくる映像速度はまるでガチンコファイトクラブの話の展開と同様なのだが嫌気はない。
むしろ閑散とした荒地にぽつんとある立地条件ヤバめな家の遠景や、日本であまり見かけない生気の欠けた針葉樹林を散策するショットなどに目を奪われ、少しの変化の中に今作の要となるホラー演出が潜んでいるのではないかという雰囲気もビンビンにあって、見逃してたまるかという映画魂が燃えてワクワクなのだ。
視覚に訴える不気味さ、キモさが全編に宿っていて、いつ残酷なことが起こってもおかしくない状況があった。
作中の妻が「なんかこの土地嫌だわ」とおっしゃる通り、なんか嫌な感じがずっとしている映画。
それがいいんですねぇ。

今作では宗教が一つのテーマとなっている。
熱狂的な信者である父を筆頭とした7人家族は、人知を超えたものに対し、必死に祈りを捧げて解決を図る。
その様こそがある意味ホラーとも見えてしまう。
「魔女」と人間の「信仰」2タイプの恐怖を織り混ぜてつづる物語がなんともうまい。

肝心な悲劇のターゲットとなる家族の父がこれまたいいですねぇ。
演じたのは『レディ・プレイヤー1』でアリスのヒモ男だったラルフ・アイネソンだ。
1630年のニューイングランドの荒地という過酷な環境下である時代背景と彼の見た目がドンピシャだ。
垂れ目、もじゃもじゃ髭が悲壮感を生み、その中で際立つ尖った鼻がキリスト教へのまっすぐな信仰心のメタファーに見える。
その姿で汗をかくと、信仰心に取り憑かれたデンジャラスな男にすぐさま成り代わりる。
ある意味魔女より怖くて忘れられない。。

そして物語の肝となる娘トマシンを演じるアニヤ・テイラー=ジョイもこれまたすごくいいですねぇ。
大人の階段を登っている最中の心身ともにまだ不安定なグラつき女子として映画中を駆け回っていた。
演技の範疇を超えた、成長途中にある肉体からの印象がとても大きかった。
一方で血まみれの姿を見ると、女優としての覚悟をやっぱり感じることもあった。
どっちつかずのぐらぐら感が、見事に映画のテーマとも結びつく。
タクシードライバー』のジョディ・フォスターや『レオン』のナタリー・ポートマンみたいに、一生のうちにわずかしか存在しないぐらついた稀有な状態の彼女が放つ異彩が、今作に与える影響は大きい。
故意に映される年齢的に見ていいのか冷や汗必須のまだ人生が込められていない半オッパイもたわわでハピネス。
今作は、アニヤ・テイラー=ジョイを語る上で外せないある種彼女の伝記的映画にもなっているでしょう。

制作チームは若手が多いようで、本作が初監督作となったロバート・エガースのこれから撮る作品もとても楽しみだ。

寝る前に見てしまったため予想通りキモい夢を見ることになったが、面白かったのでチャラ〜