それでも僕は映画を見る〜ヤマシンの映画ブログ〜

映画の感想を書くことを生き甲斐とした男のブログでございます。

『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』(2010)

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鑑賞日:2021/12/11
天候:晴れ、寒め
時間帯:夜
場所:家
見た理由:新作の予習

カナダに住む売れないバンドのベーシスト、スコット・ピルグリムが一目惚れした女性と付き合うために、彼女の元カレ7人とバトルするラブコメディアクションドラマ。
僕がIKKOだったら「おったまげえ〜」と言って近所を走り回っていたところだ。

面白かったなぁ。
おバカな映画である。本気のおバカな映画である。好きだなぁ。。
7人の邪悪な元カレといっても、瞬間移動できるタイプの元カレや、龍を召喚するタイプの元カレがいる。
主人公スコットも負けじとゴリラを召喚したりして応戦する。
ぶっ飛んでるぜぇ。
なぜそんなバトルスキルを持っているのだ。。
いや、そんなことより高嶺の花をゲットするために必要な心持ちが、ゲームのラスボスを倒すときと同じだということである。
ビンビン伝わるぜぇ。
非モテ男の恋愛観を無数のサブカル演出で描いてみせた最高の娯楽映画だったぜぇ。

ショート動画に見慣れた昨今でさえスピードに刺激を感じる近未来的編集、ふんだんに盛り込まれたゲームや漫画のエフェクトは、市場を意識したうざったいアピールではなく、ただやりたいからやっている好きがなければ実現し得ない質と量に達しており、口を挟む隙すら与えない。
異常な好き好き演出で隅々まで配慮した「オレ的」映画に乾杯だ。

思春期にモヤモヤ恋愛の妄想をすることは誰でも通る道だ。
しかし、モテモテの男子は現実だけでいっぱいいっぱいであるため、非モテ男子の妄想量が上回ることは必然であろう。
モテモテ男子がいっぱいエッチなことをしている時間と引き換えに、蓄え続けてきたのであろう膨大なオタク知識を用して作られたように見える今作は、モテない男子への希望であり、つまり僕にとっての希望なのだ。

ありとあらゆる角度から非モテ男子のネットワーク圏内に現れる人物たちが描かれていた。
脱帽だ。
モテない理由がわからない男子はこの映画を何回も見たほうがいい。
余計な一言が多い、散髪に行かない、瞳孔開いてる知り合いがいる、など、モテないチェックリストが作成できるはずだ。
僕もほどよく当てはまった。
会話の間や、趣味の悪さといったその人物の印象を左右する二次情報、さらに頭で妄想していることを映像化することにより三次情報までも表現しており、経験か、資料を山ほどかき集めるか、詳細な非モテ男子への拷問的インタビューかをしないと実現し得ないはずだ。
それに加えて有り余る想像力で、知らないものわからないものはズコズコ創り上げていく映像の建設ラッシュが、もはや見る手の追随を許さない圧倒的な情報量を生み、この映画を信用してしまう。
ホット・ファズ』でも一本あたりに注ぎ込む熱量は画面からはみ出る勢いだったが、今作も負けていない。

女性キャラが空中に舞ったとき瞬間的に見えるパンチラや、パンチがおっぱいにヒットしてしまう可能性の実現をCG混じえつつ映画のワンシーンとして描く心意気は、夢だ。
あんなこといいなできたらいいなが散りばめられた映画であり、映画というビジネスとして成り立っている奇跡は全クリエイターを勇気づけるだろう。

非モテ男子目線で言ってきたが、子供心に満ち溢れていることが実は何よりも楽しい。
子供心を大切にする大人になると誓っても、歳を重ねるにつれて知識、経験、責任が増えて、ふと気づいたら思い出すことすら難しくなっている。そして、もういいやと諦める瞬間を迎えた人は一体どれほどいるのだろうか。マジョリティの中で抗い続けることは大量のエネルギーを消費する。誰でも自由を選ぶ権利はあるはずだけれど、「みんながそうしてるから」の波にのまれていつしかその一員になることは自然で心地良いことだ。僕も多くのことを諦めてきた。
そんな中、凄まじい熱量で子供心をぶつけてくるこの映画の存在は僕にとっては非常に大切なのだ。
僕の中にまだ残っている小さな灯火を守り、油を差してくれる映画でもあったのだ。

非モテ男子じゃなくたって大いに楽しめるだろう。
昔にいい思い出があってもなくても、純粋さが見る手の心を動かすのだ。
コーラとポップコーンを派手に散らしながら見るスタイル推奨、ワクワクが蘇る素晴らしい映画だった‼︎