鑑賞日:2021/12/15
天候:晴れ
時間帯:夜
場所:家
見た映画:『バックマン家の人々』(1989)/アメリカ/ドラマ/監督ロン・ハワード
今回見たのは血のつながった4つの家族の生き方を、ユーモア交えて描いたドラマだ。
彼らは皆父親ロバーズによって築き上げられた家族たちで、時々連絡を取り合ってご飯を食べるような仲であるが、それぞれが悩みを抱え、ぎこちない生活を送っている。
悩みを自覚しないことによって目の前の大切なものを逃すかもしれない危うさを、軽快なテンポで描く。
日常生活の中で見えにくいものを見せてくれる、誰にでも必要な映画だと思った。
映像は単調で、ホームドラマと言われて想像したらまず初めに浮かぶようなものである。
視覚的な見応えはなかったといえるが、その単調さが僕は好きだった。
どこにでもあるような親族同士のあれこれを単調に映すことが、逆にドラスティックであるように感じた。
今作の4つのファミリーの物語は、一見、それそれが相手を受け入れることで、好転の兆しを見せるかのように見える。
しかしもちろん映画である。
実際のところはそう単純にはいかないはずだ。
相手を受け入れることほど難しいことはない。
この映画のように人の悩みが救われるのであれば、そんな簡単な人生はない。
全人類が映画愛好家になってしまう。
しかし、身の回りの人のことについてあれやこれや悩むバックマン家の人たちを眺めていると、悩むことってそんなダメなことじゃないな、という気がしてくる。
悩みと一緒に生きていけばいいじゃない。
そんな感じの映画なのだ。
バックマン家の長老的存在であるおばあちゃんは言います。
「ゆっくり回る観覧車よりも、ローラーコースターみたいな人生の方がスリルがあって面白いわ」と。
今作の家族はみんな、そんな人生を送っている。
彼ら自身がそのことを自覚するまでの物語である。
自覚したときに、見えていた景色が晴れていく瞬間には、なんとも言えない感動があった。
『トイ・ストーリー』でおなじみランディ・ニューマンが合わせるエンディング曲も、余韻を楽しむのにピッタリ。
沁みるのです。