それでも僕は映画を見る〜ヤマシンの映画ブログ〜

映画の感想を書くことを生き甲斐とした男のブログでございます。

『イレブン・ミニッツ』(2016)

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『イレブン・ミニッツ』(2016)

鑑賞日:2021/12/22

監督:イエジー・スコリモフスキ

⁡出演:リチャード・ドーマー、ボイチェフ・メツファルドフスキなど

概要

アンナと過ごした4日間」「エッセンシャル・キリング」「ザ・シャウト さまよえる幻響」などで知られ、カンヌ、ベルリン、ベネチアの世界3大映画祭で受賞歴のあるポーランドの鬼才イエジー・スコリモフスキ監督が、大都会に暮らす人々の午後5時から午後5時11分までの11分間に起こる様々なドラマをモザイク状に構成した群像劇。女好きの映画監督、嫉妬深い夫、刑務所を出たばかりのホットドッグ屋、強盗をしくじった少年といったいわくありげな人物と、一匹の犬を中心に描かれるサスペンスで、多種多様な視点を駆使した映像や都市空間にあふれる音などによって、人々の悲哀に満ちた人生の陰影を表現。人々のありふれた日常が、わずか11分で変貌していく様を描き出した。

⁡映画.comより

 

感想

あらすじのみで中々見てみたくなる作品なのですが、中身も同様、結末を早く知りたくなるような組み立て方で、あっという間の映画なのです。

一癖ある生き方をする人間たちのドラマが映画の中で、我々の予想とは全く異なる形で入り違っていく。しかし、そこに違和感や不快さがなかったのは、やはり経験豊富な鬼才監督の力があったのだろう。

上空を飛ぶ飛行機のジェットエンジンの音、街の中で聞こえる会話など、ごく僅かな部分で人々のドラマが共通していく。そして、謎を十分に残しつつ、そのドラマを拾いながらラストへと向かっていく。見る手の心を上手く誘導する映像表現手法を体得した、まさにエンタメのプロの技を見せつけるかのようだ。

一つの結末を軸に、大都会という決められた範囲の中で異なった複数の人生が動いていく、という点で『桐島、部活やめるってよ』の高校の中で動く学生たちの人生を、あるいは、一つのの結末という終着駅に向かってただ一人一人の人間たちが各々時間を過ごしていく俯瞰的な視点を感じた時、ドキュメンタリー映画皇帝ペンギン』で、ペンギンたちが何ヶ月もかけて無心でオアモックへと歩く姿を想起させた。

本作にはどこか冷酷なところがある。ラストの結末や大都会の中で、桐島においては高校の中で、ペンギンにおいては南極の中で、小さなことに汗水流して喜んだり悲しんだりしている愛しさ、あるいはせつなさが、映像手法によって淡々と語られていくような節があり、我々生物の営みがいかに小さなことであるかを理解しきっているかのような風合いだった。達観した人がイメージする世界を覗けたような気がして、なんとも興味深い。

起承転結に目をやれば正直なところ、たまげるような展開は待っていない。ぐるナイのごち新メンバー発表の回でセイン・カミュが出てきた時のような気持ちに僕はなった。ただそれすらも、多くの人々が理想とはかけ離れた死を迎えてしまう、思い通りに行かない人生をなぞっているように思えてしまうところがあったのだ。

81分と本当にあっという間に見れてしまうので、サクッと少し違った角度の映画を見てみたい方には選択肢の一つとしてオススメの作品です。

満足度

70%