それでも僕は映画を見る〜ヤマシンの映画ブログ〜

映画の感想を書くことを生き甲斐とした男のブログでございます。

『スポットライト 世紀のスクープ』(2016)

スポットライト 世紀のスクープ』(2016)

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監督:トム・マッカーシー

出演:マーク・ラファロマイケル・キートンレイチェル・マクアダムス、リーブ・シュレイバー、ジョン・スラッテリー、ブライアン・ダーシー・ジェームズなど

配給:ロングライド

概要

新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話を、「扉をたたく人」のトム・マッカーシー監督が映画化し、第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した実録ドラマ。2002年、アメリカの新聞「ボストン・グローブ」が、「SPOTLIGHT」と名の付いた新聞一面に、神父による性的虐待と、カトリック教会がその事実を看過していたというスキャンダルを白日の下に晒す記事を掲載した。社会で大きな権力を握る人物たちを失脚へと追い込むことになる、記者生命をかけた戦いに挑む人々の姿を、緊迫感たっぷりに描き出した。第87回アカデミー賞受賞作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で復活を遂げたマイケル・キートンほか、マーク・ラファロレイチェル・マクアダムスら豪華キャストが共演。

映画.comより

感想

神父による性的虐待を暴くために奔走する新聞記者たちの話。しかも実話。サノスのような幻の巨悪が存在しないこの現実世界において、今作は実写版アベンジャーズともいえるかもしれません。

裁判所すらも取り込んでしまうかつてのキリスト教の圧倒的権力。彼らが隠そうとした悪事を暴こうとする記者たちの姿からうかがえるのは、昇進目当てといった自己利益ではなく、悪を成敗するために戦うヒーローとしての在り方でした。皆が持っている悪に対する嫌悪感から始まり、誰も動かないから動くしかないという正義感、真実を伝える仕事をする者としての使命感を持ってして、恐怖を抑えながらいざ動き出す。その中で感じていくことになる大きな責任や、必要になってくる強烈な覚悟。巨悪に立ち向かうことは誰にでもできるということ、その中で得られるもの、失うものを、よりリアリティを持って教えてくれる映画でした。

本作で記者たちはさまざまな試練に直面していく。もちろん、肉体的に消耗するようなことはあまりなく、他人から証言を取ったり、上司とすり合わせたりする様子から感じるのは、ヒーローが常人では考えられないような苦を背負いながら問題を解決していくたびに感じるようなものと同様に見えました。

クライマーズ・ハイ』でも記者が奔走する姿が描かれていましたが、肉体的に消耗していく様が印象的。季節的なものや、堤真一が主演であることも関係してか、ゴリゴリの体育会系のような辛さがありました。本作は逆で、内面に迫るものを感じたのです。

映画的な手法を頻繁に用いてガツガツと人物の内面を見せるようなことはなく、いたって慎重に物語が描かれていく。両手で水を掬って運び出すかのような。その中で、題材のパンチ力、一流の役者陣。この二つの大きな存在感。これらによって生まれる絶妙なバランス。だからこそ内面を汲み取りやすかったのかもしれません。

巨悪の実態に脱力感を感じた。でも、見なければ知り得ないものが確かにありました。立ち向かう実存した人間たちの姿を、映画であれど、確かめてみる意味は大きいかもしれません。未見の方はぜひ、ご覧になってみてはいかがでしょうか!