それでも僕は映画を見る〜ヤマシンの映画ブログ〜

映画の感想を書くことを生き甲斐とした男のブログでございます。

『キャロル』(2016)

『キャロル』(2016)

f:id:movieyamashin:20220101113835j:plain監督:トッド・ヘインズ

出演:ケイト・ブランシェットルーニー・マーラサラ・ポールソン、ジェイク・レイシー、カイル・チャンドラー、ジョン・マガロ、コリー・マイケル・スミス、ケビン・クローリー

配給:ファントム・フィルム

ー概要ー

ブルージャスミン」のケイト・ブランシェットと「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラが共演し、1950年代ニューヨークを舞台に女同士の美しい恋を描いた恋愛ドラマ。「太陽がいっぱい」などで知られるアメリカの女性作家パトリシア・ハイスミスが52年に発表したベストセラー小説「ザ・プライス・オブ・ソルト」を、「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ監督が映画化した。52年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズは、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが……。テレーズ役のマーラが第68回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した。

映画.comより

ー感想ー⁡

2016年度傑作『ブルックリン』『ブリッジ・オブ・スパイ』に続き『キャロル』もまた50年代のアメリカが舞台。この三作品に共通する、選択を強いられる人間の物語。第二次世界大戦が終わったばかりの不安定な時代、その先が読めない中で生き抜いていくためにはきっと難しい選択が付き物だったのでしょう。ルーニー・マーラ演じるテレーズと、ケイト・ブランシェット演じるキャロルもまた、当時はまだ受け入れられていなかった同性愛を選択していく。その困難の中にあるまっさらな恋愛を見事に映像化した、大傑作だー!

⁡まず何より、映像の美しさに圧倒された。撮影のエド・ラックマンとトッドヘインズ監督によりこだわり抜かれた16mmフィルム。フィルムの粒子が、登場人物の感情をより豊かに見せる。銀幕のスターに恋をする瞬間とは、このような映像から生まれるのでしょう。マーティン・スコセッシ監督と頻繁にタッグを組むサンディ・パウエルによる衣装にもまた見惚れてしまう。50年代に使われていた色しか使用せず、生地、縫い目もこだわり抜いたという。その下地にあって、この映画の中で最も輝きを放っていたルーニー・マーラという女優。『ドラゴン・タトゥーの女』を撮影してすぐの彼女は、それまでとまた異なった、ピュアで華奢で初々しさのある女性として映画の中にいた。デパートで佇む彼女から、ベッドで脱ぐシーンまで、どの角度、どのシュチュエーションでもすばらしかった。

⁡その中でもお気に入りはテレーズがキャロルへプレゼントを渡すシーン。2人がしがらみから解放されて向かったカフェで、テレーズがキャロルにビリー・ホリデイのレコードをプレゼントする。そしてテレーズが恥ずかしそうに笑う。「人に興味を持った方がいい」と言われ続けた感情表現が苦手な彼女が、初めて自然な笑顔を見せるシーン。恥じらいなのか、嬉しさなのかわからないけど、人を思うことによって生まれた笑顔。不器用な彼女が初めて直接的に人へ気持ちを表す場面であって、彼女の美しすぎる笑顔に悶えながらガッツポーズもできるのです。そうだ、幸せなときに人って笑うんだよな、って当たり前だけど大事なことを教えてくれました。

⁡「自分を偽る生き方では、私の存在意義はない」キャロルが終盤に吐き出すセリフ。キャロルは自分の中で、どうあるべきか常に選択を強いられている。テレーズもまたそんな彼女に全てを捧げる恋をし、そのために辛い選択を体験する。妥協は存在しない。そんな人間の姿は、いつの時代であっても魅力的。だから2人は恋に落ちるんだろうなぁ。

ー満足度ー

90%【100%中】