それでも僕は映画を見る〜ヤマシンの映画ブログ〜

映画の感想を書くことを生き甲斐とした男のブログでございます。

『この世界の片隅に』(2016)

この世界の片隅に』(2016)

f:id:movieyamashin:20220104132743j:plain監督:片渕須直

声の出演:のん、細谷佳正小野大輔尾身美詞稲葉菜月潘めぐみ岩井七世牛山茂新谷真弓小山剛志、他

配給:東京テアトル

ー概要ー

第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代の同名コミックを、「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督がアニメ映画化。第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。能年玲奈から改名したのんが主人公すず役でアニメ映画の声優に初挑戦した。公開後は口コミやSNSで評判が広まり、15週連続で興行ランキングのトップ10入り。第90回キネマ旬報トップテンで「となりのトトロ」以来となるアニメーション作品での1位を獲得するなど高く評価され、第40回日本アカデミー賞でも最優秀アニメーション作品賞を受賞。国外でもフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門で審査員賞を受賞した。

映画.comより

ー感想ー

ああ、すずさん。テアトル系列の映画館で見て、しばらく経ってイオンシネマで見た時も同じようなことを思った気がする。のんびり者のすずさんの声を、暴力の描写が苦手というのんが担い、モアピースフルな主人公。彼女と、背景に迫る戦争との対比。ああ、すずさん。

⁡細かくすずの生活が描かれていく。どういう家で育ち、食べ、風呂に入り、寝ているの。楽しそうに楠木公ゆかりの楠公飯を作ったり、絵を描いたり。近所のおばちゃんが会合ですずに「もっと寄ってえや〜この席は寒いけんね〜」と密着を求めていた。今以上に強い近所付き合いみたいだ。厳しい生活の中でも満ちた生活が描かれる。様式は違っても、今と一緒、今より楽しそうにも思えるやんか。⁡

原作者、監督ともに、日常生活を描くことができれば見応えのあるエンタメになり得るという確信を持っているという。とくに本作では、あくまでもすずさんという人間を密に描き、70年以上前の人たちも今の僕らと何ら変わらないのであって、その中で戦争を背景に映し、感じてもらう。今と昔が地続きであることが一つのテーマとして主張される。徹底的なリサーチがすずさんの生活にことどく反映され、戦時中は毎日絶望的な日々を送ってるんだろうなというリサーチ不足のチンケな僕の妄想を吹き飛ばす。戦時中の世界の片隅が、実存感をもって丁寧に丁寧に描かれいていく、すごく好きだ。

⁡一方で、アニメーションの中のかわいらしいデザインは気の緩みを与えてくれる、あぁピースフル。どんどんすずの世界を身近に感じ、好きになり、熱が高まる。初のラブシーンで胸ドキがあったりしてなお熱い。

⁡その中で、わかっていても戦争が徐々に牙を剥くからエモい。旦那の周作がすずにかける「お前だけは最後までこの世界で普通でまともでおってくれ」という言葉がエモい。戦争が落ち着いて始まるラストと、エンドロールもエモい。序盤でまいた種が回収されいく。終盤のドラマが高確率で胸を打ちまくる。

昭和19年から昭和20年にかけての異なる時代を立体的に知り、体験し、指摘を受けずとも反戦魂が宿る。平和を願う僕らみたいな普通の人間の生活を、すずに乗せて何よりも大事に描いてくれたからこそ、悲惨さに重点を置いて描く戦争映画以上の感銘を受けた。最高でした!

⁡ー満足度ー

85%【100%中】